『行動経済学が最強の学問である』を解説!ビジネスと日常に活かせる非合理のメカニズムとは?

6 min 14 views
ぽめお

ぽめお

サイドFIREを目指すアラサー銀行員が日々学んだ事を発信。30歳のうちに資産1,500万円到達が目標。お金(資産運用)やIT・データ分析を絶賛勉強中。ブログでのアウトプットも毎週継続を目標に!運用について興味がある人に一歩踏み出す勇気をお届けしたい。

FOLLOW

おはようございます。こんにちは。こんばんは! どうも、ぽめおです。
今回は、相良奈美香さん著『行動経済学が最強の学問である』を紹介します。

以前から行動経済学には興味があったのですが、「〇〇理論」やら「△△効果」などの単語とともに小難しい解説が書かれていて、それぞれを覚えるというような形の本が多かったので挫折していました。 本書は、そんな行動経済学を体系化して解説してくれる本となっていて、点と点が繋がって、スムーズに内容が入ってくる本でした!

現在、行動経済学は世界のビジネスエリートの方々が学んでいる学問です。
なぜ、世界の企業が行動経済学を求めているのかをお伝えできれば幸いです。

いつも通り、今回も自分なりの結論から。

Q.なぜ行動経済学が「最強の学問」としてビジネスパーソンに求められるのか?
A.行動経済学は、人間の”非合理”を前提とした学問。実際の人間の非合理な意思決定の集合体こそが経済(リアル)であるため、人間の”非合理さ”を理解することがビジネスの基本だから

従来の経済学は、「人間は合理的な意思決定をおこなう」という大前提のもとで進んできた学問ですが、実際の人間はまったく合理的ではない意思決定を多く行います。
皆さんも、「買うつもりがないモノを深夜にポチってしまった」「ダイエットしようとしていたのにコンビニでスイーツを買ってしまった」という経験はあるのではないでしょうか? 人間が合理的なのであれば、起こりえない現象です。企業も行動経済学に基づいて、僕たちの非合理性を利用してきます。
行動経済学を勉強することで、自分の行動を見直すきっかけにしていきましょう!

今回は…
1.What:人が非合理的な意思決定をするメカニズムとは?
2.Why:なぜ行動経済学はビジネスにおける「最強の学問」であるのか?
3.How:日々の生活に、学んだことをどのように活かしていくのか?
4.ぽめお的感想
この4つの観点から紐解いていきたいと思います。ぜひ今回も最後までお付き合いください!

What:人が非合理的な意思決定をするメカニズムとは?

人間が「非合理的な意思決定」をしてしまうメカニズムは「①認知のクセ」「②状況」「③感情」の3つに分類されます。それぞれ簡単に見ていきましょう。

①認知のクセ

「認知のクセ」とは、「人間の脳がインプットした情報をどう処理するか」という点において、情報処理の仕方に「歪み」が存在することで、情報を歪めて処理してしまい、非合理な意思決定につながってしまうというものです。

その代表的な理論の一つ、「システム1 vs システム2」を見ていきましょう。
そもそも「システム1とは?」「システム2とは?」を簡単に解説すると以下の通りです。

システム1:直感的で瞬間的な判断(ファスト)
システム2:注意深く考えたり分析したり時間をかける判断(スロー)

たとえば、あなたがスーパーに買い物に行ったとします。目的は「夕食の材料を買うこと」ですが、レジの近くで美味しそうなチョコレートを見つけました。

  • システム1(直感的・感情的な思考)
    ⇒「美味しそう!しかも割引されてるし、お得だから買っちゃおう!」
    ⇒ 脳が瞬時に反応し、特に深く考えずにチョコレートをカゴに入れる。
  • システム2(論理的・慎重な思考)
    ⇒「いや、ちょっと待てよ。本当に必要なものだったっけ?ダイエット中だし、余計な出費を増やしたくないからやめよう。」
    ⇒ よく考えて、衝動買いを思いとどまる。

人間が常に合理的なのであれば、夕食の食材を買いに行っていてダイエット中なのであればチョコレートを衝動買いすることなんてあり得ないのですが、誰しも経験があるのではないでしょうか?
常にシステム2が優れているというわけではなく(生死にかかわる状況でじっくり考えていたら間違いなく死んでしまうので)、どちらが良い悪いはないですが、システム1では誤った判断をしてしまうことがあるのは肝に銘じておきましょう。(特に疲れていたり、時間がないときにシステム1に頼って失敗しがちです)

本書では他にも「認知のクセ」の具体例として、「劇場にはいくらまで払える?(メンタル・アカウンティング)」や「Googleの人事担当も気にする確証バイアスとは?」「高級時計の見せ方は垂直?それともナナメ?(概念メタファー)」などなど、面白い理論が盛りだくさんです。

②状況

人間は環境に左右されて意思決定をし、状況に影響されて行動しています。「いやいや、自分の意志で行動してるから!」と思うかもしれません(僕は思いながら読んでいました)が、実際に僕たちは状況に動かされていました。

ここでは、「プライミング効果」「おとり効果」を見てみましょう。

「プライミング効果」とは、先行する情報や刺激が、その後の判断や行動に無意識のうちに影響を与える現象のこと。
具体例として、BGMによる影響を見てみます。

あるワインショップで価格や甘さ・渋みは同じという条件で、2週間にわたり店内BGMを変更し、売れるワインの傾向を調査したところ、フランスのBGMを流していたときは83%がフランスワインを購入し、ドイツのBGM → 65%がドイツワインを購入(フランスワインは35%まで減少)という結果になったそうです 。しかもこれの驚くべきところは、ほとんどの人はBGMに気づかずに選択していたということ。 僕たちは無意識に「決めさせられている」んです…恐ろしい。

「おとり効果」とは、誰も選ばないような選択肢(おとり)をあえて追加することで、「もともとあったもの」を選ばせるという理論のこと。

この効果を巧みに利用している企業の1つ、アップルの例を見ていきましょう。

アップルストアでは、1種類のiPhoneを見せることはなく、同じ機種でもストレージが違うiPhoneがこんな感じに並んでいないでしょうか?

<iPhone16>
128GB:124,800円
256GB:139,800円
512GB:169,800円

このとき消費者は「128GBだと要領が足りないような気がするけど、512GBは多すぎるよね…」と考えて、無難に真ん中の256GBを選ぶことが多くなります。アップルが特に売りたいモデルが256GBだった場合、企業の思惑通りに僕たちは「選ばされた」ことになります。
日本にはこれと近い言葉に「松竹梅の法則」というものがあるので、そちらの方が馴染みがあるかもしれないですね。

他にも「iphone7が安く見えるのはなぜ?(アンカリング効果)」「”本日のビール”が効果的なのはなぜ?(ナッジ理論)」などなど、本書では状況に関する理論が盛りだくさんです。

③感情

「今日は気分が良かったから奮発しちゃった!」「嫌なことがあったから暴食してしまった」などの経験は皆さんもお持ちではないでしょうか?
僕たちにとっては、すごく当たり前のことですが、「意思決定が感情によって左右される」ということ自体が非合理ではあります。

ここでは喜怒哀楽ほどはっきりしたものではなく、もう少しぼんやりした淡い感情「アフェクト」についてご紹介します。

アフェクトがどのぐらいぼんやりした感情かというと、「タバコが苦手な人が、タバコを吸っている人を見て少し嫌な感じがする」ぐらいのレベル感です。本当に些細な感情のことですね。

ここでは「保有効果」について見てみます。

自分にとって不要なものをフリマサイトに出品するというのは多くの方が経験していると思いますが、そのときに「他の出品者よりも少し値付を高くする」経験はないでしょうか?
「他人には無価値でも、自分のものには価値がある」と思ってしまうことが「保有効果」です。
これも、喜怒哀楽ほど明確なものではない「アフェクト」の一種です。

「アフェクト」は、それまでの2つ(認知のクセ、状況)と比べても、ある程度は自分でコントロールできることが多いように思います。なので、アフェクトの活かし方は後述したいと思います!

Why:なぜ行動経済学はビジネスにおける「最強の学問」であるのか?

ついつい、メカニズムの中身の紹介が長くなってしまいました(本当はもっとやりたい)が、では「なぜ行動経済学を学ぶことがビジネスにおいて効果があるのか?」についてです。ここでは大きく2つのメリットをご紹介したいと思います。

① 自分の行動を防衛できる

僕たちは日々、無意識のうちに企業の行動経済学の活用に影響されています。

例えば、YouTubeの「次の動画の自動再生」や、SNSの「無限スクロール機能」は、気づかぬうちに時間を奪われる仕組みが構築されています。(耳が痛いですね…)

しかし、これらのトリックを理解していれば、「これは行動経済学的に仕組まれたものだ」と気づくことができます。気づくだけでも対策がとれるようになり、無駄な出費を避けたり、時間をより有意義に使うことができるようになります。なので、行動経済学を学ぶことは現代社会において自分を守るための必須スキルになるのです!

② 他者を動かす力を手に入れられる

①とは真逆のことになりますが、逆に自分のビジネスでは「どうやって人(顧客)に動いてもらうか」が重要です。行動経済学は、自分の意思決定を見直すだけでなく、他者や顧客の行動を理解し、望ましい方向へ導くためのツールになります。
ビジネスでは、価格設定や広告の打ち出し方によって消費者の選択が大きく変わりますので、「自分は動かされないように、でも他者(顧客)は上手く動かせるように」していくことができます。(ちょっと言い方が悪いですね)

さらに、日常のコミュニケーションや交渉にも応用できます。例えば、お願い事をするとき、最初に大きな頼みごとをしてから本命の依頼をすると成功率が上がる「ドア・イン・ザ・フェイス」や、小さなお願いから始めて徐々に大きな依頼へと誘導する「フット・イン・ザ・ドア」などですね。

このように、相手の心理や意思決定のメカニズムを理解することで、より効果的なマーケティングやマネジメントが可能になるだけでなく、人間関係を円滑にし、お願い事も聞いてもらいやすくなります。

How:日々の生活に、学んだことをどのように活かしていくのか?

だいぶ長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただいて、行動経済学の面白さを少し理解いただけたのではないでしょうか?では、それをどうやって「自分にとって都合よく活用するか?」について、いくつか僕なりのアクションプランをお出ししたいと思います。

状況に流されない「環境」を作る

状況に流されないように、自分なりの防衛ラインを作りましょう。
多くのエグゼクティブは、重要な意思決定を朝にするようにしています。これは脳がフレッシュな状態で「決定疲れ」をしていないから、「システム2」を活用できるからです。皆さんも重要なことは「朝」に済ませてしまいましょう。
また、夜にスマホでネットショッピングをするのも止めてしまいましょう。逆に夜は「決定疲れ」をしているので、「システム1」でついつい衝動買いをしてしまいます。企業のマーケティングには負けないような環境(仕組み)作りは誰にでもできるのでオススメです!

心理的コントロール感を持つために筋トレをする

「ストレスが溜まると買い物(散在)がしたくなる」という現象は、「自分が自分の人生をコントロールしている」という「心理的コントロール感」を取り戻したい気持ちの表れです。それで不要なものを買い過ぎていないですか?
個人的には、安価に健康的に心理的コントロール感を取り戻したいのであれば、筋トレがオススメです。ストレスを発散できますし、自分を見つめ直す良い機会になると思います。
筋トレは当然自分の身体をコントロールしなければいけないので、それが回りまわってメンタルまで整ってくるような感覚になります!(個人の感想です)

感情をコントロールする

ネガティブアフェクト(緊張する・不安だ等)は自分にも人にも良い影響を与えることはないです。ものすごくありきたりで恐縮ですが、「ネガティブアフェクトをポジティブアフェクトに変換する」ということが行動経済学上でも有効になってきます。
本書でも、「ネガティブアフェクトは自力で抑え込もうとするのは逆効果」と書かれていますが、どうすればいいのでしょうか?
僕は普段『ドラゴンボール』の孫悟空になりきるようにしています。これはかなりオススメです!
とはいっても、かめはめ波を出すことはできないので、トラブルやストレスが降りかかってきたときには、「オラ、ワクワクすっぞ!!」と声に出すようにしています。(もちろん小声です)
不思議なことに、「ワクワクする」と言葉に出すと、少しだけワクワクしてきます。
もちろん、ベジータがお好きな方もいらっしゃると思いますので、自分なりの「ポジティブワード」を見つけて声に出すようにしてみてください。交渉事も明るい人の方が強いですから。

4.ぽめお的感想

ずっと興味があった行動経済学を、体系立てて学ぶことができた非常に良い機会でした!
僕自身、仕事でマーケティングやサービス設計、顧客分析をする際、「顧客は合理的だ」という前提で仕事を進めていましたが、「非合理的な意思決定をする」人間をどう動かすのが良いかという観点が抜けていたことに気付かされました。

本書は行動経済学の入門書として最適な一冊。複雑な理論をシンプルに解説し、多くの面白い実験結果が掲載されています。「行動経済学を学びたいけど、難しそう」と感じていた方にこそ、ぜひ読んでほしい一冊です!

今回は本当に長くなってしまいました。申し訳ないです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!
また次の記事でお会いしましょう!!

ぽめお

ぽめお

サイドFIREを目指すアラサー銀行員が日々学んだ事を発信。30歳のうちに資産1,500万円到達が目標。お金(資産運用)やIT・データ分析を絶賛勉強中。ブログでのアウトプットも毎週継続を目標に!運用について興味がある人に一歩踏み出す勇気をお届けしたい。

FOLLOW

カテゴリー:
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です